今回は「偽札を作ったら」という話である。
「偽札」を作るのは非常に難しい。まあ当然のことであるが。
なかでも難しいのは「偽札犯」になることだ。
なんでもかんでも偽札を作れば偽札犯になれるわけではない。
偽札犯にも2種類あるのだ。
まずは刑法に定めのある偽札犯。刑法148条から153条にその規定がある。
この法律を破るには「ちょっと見ただけでは本物と区別がつかない」偽札を作らなければならない。出来の悪い偽札はこの刑法では罰せられないのだ。
もちろん出来の悪い偽札を作っても罪になる。これは通貨及び証券模造取締法という法律に触れるのだ。この場合「本物と紛らわしい」ものを作ればこの刑で罰せられる。出来の悪い偽札犯はこの法律で罰せられるのだ。
先日、九州で偽札(というか偽コイン)犯がつかまった。この犯人は、百円玉を模造して自動販売機からお金を盗んでいた。しかし、その模造した百円玉は裏面のもようさえな稚拙なものであった(そんなものでよく自動販売機が騙せたな、とも思うのだが)。このため、通貨の偽造とは認められずに「模造犯」として逮捕されたのである。
「通貨の偽造」は重罪である。最高は無期懲役に処せられる。しかし、通貨の模造は最高でも3年の禁固刑である。稚拙な犯罪は大して重く罰せられない、ということになる。
この通貨の模造だが、思わぬところで知らず知らずしてしまっていることがある。一番わかりやすいのはいわゆる子供がごっこ遊びで使う「こども銀行券」である。あんまり精巧につくると通貨の模造になってしまうのだ。だから模様や大きさでまったくお札に見えないように作られているのである。
スポーツの優勝者やテレビ番組の商品として渡されることがある「百万円券」みたいなものも通貨の模造に当たる場合がある。もっとも、そうした券は本物のお金の模様はしているが大きさがばかでかい(このへんはこども銀行券と逆である)ので、通貨の模造には当たらないとされている。
よほど精巧な偽札を作らないと「偽札犯」にはれない。出来が悪いと「模造犯」になる。偽札作りもなかなか大変である。同情はしないが。

